建設キャリアアップシステムとは?

「建設キャリアップシステム」という言葉をお聞きになられたことはありますか?

いよいよ本格的に登録が進められてきました。

今回は、いま官民一体となって推進されている「建設キャリアアップシステム」の登録についてお伝えします。

名前だけは聞いたことあるけど・・
ホントに必要になるのかなぁ。。

1 「建設キャリアアップシステム」って何?

「建設キャリアアップシステム」って具体的には何なのでしょうか?

名前は聞くけど、まだ中身がよく分からないって方はいらっしゃいませんか。

まずシステムって何のことでしょう??

すごく詳しい解説がたくさん出ているのですが、長くて量も多い。なかなか忙しい合間に読みこなすのは大変です。

そこで、内容を出来るだけかみ砕いてお伝えできればと思います。

建設キャリアアップシステムとは、簡単に言うと、建設業にかかわる一人ひとりの情報を登録して、いつでも見れるようにするシステムのことです。その人がいつ、どこの現場で働いていたか、どんな経験を持った人かなどが、一瞬で分かるようになるのです。

2 どうやって使うの?

では、どのように使うのでしょう?

技能者の方は、現場に行ってカードでピッとするだけです。今は、顔認証で現場で入れるとも言われていますね。

カードは一人ひとりに個人情報を登録したカードが発行されますので、全員がそのカードを持ち歩きます。たずさわる現場でカードをピッとかざせば、誰がどの現場に何時に入ったかが分かる仕組みです。

事業者の方は、ネット上で各技能者の業務管理が出来ますので、一人ひとりの情報が一度に確認できるようになります。

大きな建設現場では、たくさんの業者さんが一斉に工事に携わることになると思いますが、その各会社の所属する技能者の方を一括して管理できる仕組みです。これまでの書類でデータを確認するのとは段違いに事務処理時間が短くなります。

3 メリットはあるの?

では、その人がどんな人か分かれば、どのような良いことがあるのでしょうか?

例えば、事業者の方は、工事の現場に入る人が、どのような経験を持っているか、社会保険に入っているかが分かります。

大きな現場では工事に携わる人の数も多人数になりますから、現場責任者の方が毎回全員を把握していくのは時間がかかります。それを現場に来られた人から順にカードでピッとするだけで、誰が何月何日、何時に現場に入ったか、しかもその人は、どのような経験を持った○○会社の人で、社会保険には何年から入っているということが記録から分かります。それだけではありません。

万一、事故が起きた場合の連絡先はどこで、誰に真っ先に連絡すれば良いのか、この人の血液型は何型かなども分かるようになるのです。

これは、言わば会社側からの良いことですが、技能者個人にとっても良いことがあります。

現在は、若者の建設離れと言われるように、建設業を敬遠したり、一度は建設業にたずさわっても長く続かず離れていく人が多いそうです。

そこでこのカードがどのように役立つかというと、このカードに集約された情報によって、雇い主がこの人はどの現場で、どのような業務経験を持っているかを簡単に知ることが出来ます。

雇用主としては、通算された業務経験を適切に計ることができるため、この経験があるなら少し上の責任ある職務を任せてみようとか、会社に長くいて欲しいと思う人材には給料を少しUPしよう等、建設会社のこれまでの年功序列に基づく賃金体系を離れて個別のスキルによって賃金が反映されることが期待できます。

技能者個人としても、将来、個人事業主として独立したいと思っている人にとっては、自分の経験が着実に積み重なっていくので、目標に一歩一歩近づいていくことが励みになります。さらに、現場責任者などの経験を積むことで専任技術者になるための経験を証明するための資料として独立するときに役に立ちます。

4 なぜ建設キャリアアップシステムができたの?

「建設キャリアアップシステム」が出来た背景をみてみましょう。

ここからは、建設業の現場を担う人を「技能者」と呼んでいます。

建設業界の賃金規定は平均的に40歳前後でピークに達するそうです。ですが、40歳以上のベテランと呼ばれる人たちに割り当てられる現場で、管理能力や後進の指導といった経験にもとづく能力が適切に評価されていないという批判がありました。

また、複数の会社に勤め、様々な現場で経験を積んだ技能者の能力を統一的に評価する仕組みがなかったので、能力が適切に賃金に反映されていないという問題もありました。

これらの現状が、技能者の中でも特に若い層に建設離れを引き起こしているのではないか、ということで技能者の能力が統一的に評価される横断的な仕組みを官民一体で作ることになったのです。

5 目的は何?

「建設キャリアアップシステム」は、技能者一人ひとりをシステムに登録し、IDが付与されたICカードが交付されます。ICカードが各技能者を証明する機能を担うことになります。

このカードに、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのか、日々の就業実績として記録されていきます。他には、どのような資格を持っていて、どのような講習を受けたかといった記録も蓄積されていきます。

こうして蓄積された情報によって、技能者の評価が適切に行われることにつながります。賃金UPをはじめとする処遇改善、さらにはどの事業者が、人材を育成して優秀な技能者をかかえているかが見えるようになります。

このように、優秀な人材を育成し、また適正な処遇改善をすることにより建設業の働き手を確保して、建設業界の活性化をはかることこそが最終目的といえます。

6 これからどうなる?

登録が開始された当初は、なかなか数字が伸びていないのが見えていました。

毎月、何件登録されたか合計数が発表されていたのですが、目標数字とあまりにかけ離れていたので、消えてしまうんじゃないかと思って見ていました。業者さんもホントに必要かどうか分からなかったからでしょう。

ですが、周知するための予算が組まれ、周知策が次々に発表、実行されています。

2023年には全ての業者さんの登録を目標にしているそうです。

建設キャリアアップシステムの登録は、経営事項審査の加点事由になっただけではなくて、公共工事に参加するための必須条件にもなるそうです。実際、全国では次々に試みが行われてきています。

以上のことからすると、これから登録がどんどん進んでいくのだと思います。

新しい情報が出ましたら随時お知らせしたいと思います。

公共工事の参加を考えている方は
登録しておいた方がいいね~

まる
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