在留許可「技人国」からの変更は?
某日、「外国人の在留許可の資格を他の資格に変更できますか」というお問い合わせがあったので、記録しています。具体的には、「技術」の在留資格で来られている外国人の方からのご相談で、難しい技術にかかわるお仕事だけではなく単純作業のような仕事につくにはどうしたら良いか、ということでした。
考えられるのは、作業が行える資格ということであれば、特定技能1号になるかなと思います。
ただ、すぐに変更できるような簡単な手続きとは言えないかな~というのが正直な感想です。
まず「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で来られているということは、オーソドックスな要件として母国または日本で4年生の大学を卒業し、そこで学んだことをいかしてお仕事をされているということだと思います。
他方、単純作業ができる資格といえば、技能実習か、特定技能かになると思いますが、技能実習は組合などの管理団体に会社様が加入してそこから適切な人材を選び働いてもらう流れが一般的だと思います。だとすると、労働者の側から選択できるのは特定技能ということになります。
1 変更は可能である
では、技術の在留資格から特定技能に変更できるか?
応えは、YESです。
簡単に言うと、「特定技能1号または2号」の要件を充たしていれば変更は可能で、その要件というのが、①実技の試験と②日本語の試験の2つの試験をパスしていることが必要になります。
少し詳しく検討してみました。
変更するには、「特定技能1号」の資格を取得する必要があります。
ここで特定技能1号と特定技能2号の違いを見ておくと
「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能 を要する業務に従事する
外国人向けの在留資格で
「特定技能2号」は,特定産業 分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
と法務省の特定技能ガイドブックに説明があります。
どっちが難しいの?
Ans.1号より2号の方が取得の難易度が高いです。
2 手続きの流れは?
2つの試験についてですが、
1 評価試験(実技)は、技能3級(技能実習生の1年目くらいの)レベルだそうです。
2 日本語試験はN4(日本語検定試験4級)程度、つまり日常会話に支障なしレベルだと思います。
この2種類があり、国籍ごとにそれぞれ試験の時期が決められていると思いますので、ネットで「特定技能 試験」などで調べていただくと試験日が出てくると思います。年に数回で、少ないな~と思いましたので、受けられる方は事前の確認が必要ですね。
で、無事に試験に合格したら必要となるのが、外国人の方のサポートをする支援機関です。会社様自身が外国人の支援機関となるか、支援機関に加入して外国人のサポート体制を整えておく必要があります。ただ、会社様がはじめて特定技能の方を雇用される場合は、どの程度のサポートが必要で費用はどれくらいかかるのかなど準備が必要です。語学が通じる方が社内にいらっしゃらなければ、専門家に頼むなどの費用も考えておかなければなりません。こちらの手順は、「特定技能受入法人JAC」などで検索していただいて詳しくはお尋ねください。
その後の手続きの手順ですが、受入れ体制が整ったら、在留資格の変更手続きとなります。
ざっくり必要なものを上げてみると
・合格証
・健康診断書
・源泉徴収票
・納税証明
・課税証明書
・健康保険証、保険の納付証明
・年金記録
などを準備する必要があります。
他に会社様もご自身でサポート体制を取られるなら「外国人支援計画書」などを作成して提出する必要があります。
とここまでは、出来るか、出来ないかの視点で見てきましたが、根本的な違いとして、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は(本人のレベルが高い分)自由度が高いですが、特定技能は単純作業は可能になりますが、自由度という面では制約があります。
3 一番の違いは?
「技人国」の在留資格で会社で働いている場合は、5年ごとに更新していくことが可能ですが、特定技能1号は、最大で働ける期間が5年ですので、原則としてその後、帰国することになります。
さらに、「技人国」は、日本で結婚もできます。永住権の取得を視野に入れるには、技人国の方が断然有利だと思います。
他方、特定技能1号は原則家族帯同不可ですので、制約も大きいといえるのではないかと思います。
従って、ご本人に在留資格を変更した場合は、5年で帰国することになるなどのデメリットもしっかり説明して確認していただきたいと思います。