IT点呼とAI自動点呼の違いは?



1 点呼の重要性

運送業者さまは、ご存じの通り運転手さんの運行開始前と後に点呼をしなければいけない決まりがあります。

点呼時には、アルコールチェックや体調についてのチェック、運行管理情報の情報伝達なども含まれます。また点呼は重要度の高いもので、毎日の点呼記録を記録簿に残し保管しておく必要があります。巡回指導の重点項目の一つにもなっています。

2 誰が点呼するの?

点呼する人にも決まりがあって、運行管理者という資格を持っている人、または運行管理者の補助者の方が点呼を取ることになります。しかし、年々、運行管理者資格の難易度が上がり、資格を取ること自体も難しくなっています。実務経験で取得する方法もありますが年数がかかります。

加えて、人手不足の問題もあります。距離が離れた(10キロ以上)営業所には、別の運行管理者さんを配置しなければいけないので、遠くに営業所を構えたい場合は、最低5台の登録車両、運転手さんの追加、さらに運行管理者さん(整備管理者含む)も増やさなければいけないことになります。

3 負担は大きい

運送は毎日のことですから、万一、運行管理者さんが急に休まれた場合に備えて補助者さんの配置も必要でしょう。販路拡大など営業範囲の拡大をお考え中の運送業者さんは、車両だけではなく人材の確保も大きなネックになるのです。運転手さんの出発にあわせて、朝早く出庫の際の点呼を行い、深夜に帰ってこられた場合も同様に点呼が必要です。負担はかなり大きいものです。



4 IT点呼とは? 

そこで、取り入れられているのがIT点呼というものです。パソコンやスマホからカメラを通して顔を確認しながら点呼できるのです。もちろん、血圧や飲酒の有無などの管理もできる優れものです。

現在認められているのは、乗務後の点呼のみですので、乗車前の点呼は従来通り、対面で行う必要があります。

人が対面して行う信頼性にはかなわないといったことでしょうね。

また、IT点呼導入は人件費の削減を含め利点も多く、便利なものなのですが、この方法は誰でも取れるものではなく、国土交通省はIT点呼の利用条件を「輸送の安全及び旅客の利便の確保について優良と認められる自動車運送事業者の営業所」と定めています。

優良とは、簡単にいうと、「Gマークを取得している」または、「直近の巡回指導でD以下ではないこと」とのことです。どちらにも対面による点呼の記録簿が含まれていますから、人による点呼を含め車両管理や労働管理、届出などがしっかりできていることが最低条件といったことのようです。

5 AI(自動)点呼とは?

自動点呼とは、ロボットによるAI点呼です。IT点呼は、カメラの向こうの「人」がチェックしていましたが、自動点呼は人ではなくAIロボットが行ってくれます。

ただし、運行管理者さんが全く不要になるというものではありません。あくまで機械ですので機械の不具合が生じた場合やアルコールの検知数が数値を上回っていた場合など対処するのはあくまで「人」です。もっとも、アルコールチェックや運行情報の確認などを機会に任せられるので人の負担は格段に減ります。また、誰がどうだったという記録の面も自動的に記録されますので、ミスがおこりにくくなります。

もちろん、AI点呼の導入には費用がかかる他、認定済みの自動点呼機器を用意していること、運輸支局長へ事前に申請書を提出するなどの条件を充たしている必要があります。

認定済みの機器については、国土交通省のホームページからご確認くださいませ。

 

6 バランスを

人材不足が問題となっている昨今、運送業も例外ではないようです。機械導入によって軽減できる負担とのバランスをとりながら運用をお考えになられてはいかがでしょうか。



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