社会性の加点対象は何?



建設業者の皆様、お仕事お疲れさまです。

兵庫県姫路市の行政書士の秋田です。




第4回/全5回  「経営事項審査の加点事由には何があるの?」

今回は、加点対象となっているものについてのおさらいです。

あるだけで、加点となるものばかりですので、加点が必要な方は提出忘れがないかご確認くださいね。



では早速、加点となる項目を見ていきましょう。

まず、必ず取っていなければならないもの保険制度の①~③は義務ですので、入っていなければマイナスとなります。

また、入札業者登録時にも加入が条件となっているところが多いと思われます。


そして重要なのが、今が変化(変更点が多々あります。)の時期ということです。
令和5年1月1日からの改正があります。

審査基準日によって点数配分が異なりますが、対象項目は共通していますので、一つずつ見ていきましょう。




まる
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細かなところは省いて説明するね。
これは必要かも~って思うところは詳しく確認してね。

1 担い手の育成及び確保に関する取り組みの状況(W1)



保険制度未加入の場合加入の場合
①雇用保険の加入状況-40点0点
②健康保険の加入状況-40点0点
③厚生年金保険の加入状況-40点0点
④建退共の加入状況0点15点
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入0点15点
⑥法定外労災制度の加入状況0点15点
⑦若年技術者及び技能者の育成及び確保の状況2~0点
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組み状況10~0点
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組み状況5~2, 0点
⑩建設工事従事者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況 
  審査基準日が令和5年8月14日以降の場合に評価される対象になります。
15, 10, 0点


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ぜーんぶ加点を取るのはむずかしいよね?


まずは、保険の3つをきちんと加入してるか確認してくださいね。

その上で、効果が高く、負担の少ないものから入られてはいかがでしょうか。



例えば、点数配分の大きな④建退共、⑤退職一時金、⑥法定外労災について、ご検討なさってはどうでしょうか。

建設業退職金共済には、掛け金が必要となります。しかし、従業員の福利厚生や定着をはかるためには大切なことかもしれません。

退職一時金については、10名以下の場合は労働基準局に就業規則の提出は義務ではありませんので、自社で作成するだけになります。もちろん、実態が伴っている必要があります。

法定外労災は、保険として掛け金などが必要となりますが、従事者の雇用の安定ににとっても大切なものと言えるのではないでしょうか。


次に、加点となるものをあげていきますね。

⑦若年性とは35歳未満の技術者をいいます。

 継続して雇用している場合は、若年性技術者の割合が15%以上なら1点、新規雇用の場合は、1%以上で1点の加点があります。

その年の評価ですので、後進を育てることに対する評価と言えます。
こちらは、加点を取っていくというよりは、現状を評価してもらったら加点があった、もしくは、なくなったということではないでしょうか。


⑧ これはCPDの取得単位数による加点です。

取得した点数がそのまま加点になるのではなく、技術者および技能者の人数で各技術者、各技能者の人数を割ったものに単位を掛け合わせたものの合算になります。

    技術者数 / (技術者数+技能者数)×技術者の取得単位  
    技能者数 / (技術者数+技能者数)×技能者の取得単位

を合計したものです。

技術者数は、監理技術者になる資格を有する者、主任技術者になる資格を有する者、一級技士補及び二級技士補の数の合計。

技能者数は、審査基準日以前三年間に、建設工事の施工に従事した者であって、 作業員名簿を作成する場合に建設工事に従事する者として氏名が記載される者 (監理技術者や主任技術者として管理に係る業務のみに従事する者は除きます)の数になります。


コロナ禍の中で、技術者の方に知識をブラッシュアップしていただくものと捉えていましたが、継続的に加点事由となっていますね。業務と並行して学習を継続なさるのは大変なことと想像します。

⑨ くるみん(次世代の活躍)、えるぼし(女性の活躍)、ユースエール(若年者雇用)が加点評価の対象となります。

詳しくは、県のホームページからご確認くださいね。

残念ながら、現時点では点数につながる企業は規模の大きなところがほとんどと言われています。県下でもほんの数社とか。





⑩については、建設キャリアアップのことを指していますので、W10 のところでご確認くださいね。




2 営業年数(W2)



営業年数が5年以下の場合は0点、

6年以上~35年の場合(35年以上の場合も同じ)は、営業年数が1年増える毎に点数が2点アップし、最大60点になります。

ただし、営業休止の場合の期間は除きます。

3 防災協定(W3)


締結があれば20点が加点されます。


防災協定とは、災害時の建設業者の防災活動等について定めた建設業者と国、特殊法人等又は地方公共団体との間の協定をいいます。証明書等(防災協定書、証明書など)で確認できた場合に加点されます。複数の協定を結んだとしても20点のみです。

姫路市との防災協定については、締結に費用はかかりません。

自社でどのような活動ができるかを検討して、申し込みをする必要があります。

会社でお持ちのダンプやショベルカーなどが災害時に役立ちますので、お持ちの方はぜひ登録しておきましょう。

 

4 法令遵守(W4)


営業停止の場合はマイナス30点、指示処分の場合はマイナス15点、処分ナシなら0点です。

こちらは、加点ではなく減点方式ですね。




5 建設業経理点数(W5)


・監査の受審状況

会計監査人の設置がある場合は20点、会計参与の設置の場合は10点、経理処理の適正を確認した旨の書類の提出があった場合は2点、監査ナシの場合は0点。


・公認会計士の数×1点+2級登録経理士の数×0.4点


会計参与や会計監査人を設置するのは、規模が大きな企業の会計の透明性を保持する必要性からきています。

設置の必要性については、税理士さんに相談なさってくださいね。



6 研究開発点数(W6)


研究開発の状況点数は、会計監査人設置会社に限定されます。


会計監査人を設置している小規模経営事業者はほぼいないと思いますので、こちらも点数には結びつかないですね。

7 建設機械保有点数(W7)


建設機械の保有状況の点数は、建設機械の保有台数(1~15台)で加算され、最高15点です。

建設機械を所有していない場合は0点です。


建設機械を自ら所有している場合、又は、審査基準日から1年7ヶ月以上の使用期間が定められている リース契約を締結している場合に評価対象になります。


評価対象になる建設機械は、建設機械のうち、 ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、 モーターグレーダー、大型ダンプ車、移動式クレーンの6種類です。

以前よりすこし、種類が増えました。

台数101112131415
点数10111212131314141515

 

8 国または国際標準化機構が定めた規格による登録(W8)

国際標準化機構の登録状況
ISO90015点0点
ISO140015点0点
エコアクション213点0点



9 建設キャリアアップ登録と実施状況(W10)



・審査対象工事のうち、民間工事を含む全ての建設工事で該当措置を実施した場合は15点

・審査対象工事のうち、全ての公共工事で該当措置を実施した場合は10点


ただし、審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負っていない場合には、加点されません。




★令和5年8月13日以前の審査基準日の場合は、上記の合計点数に1900/200をかけます。

★令和5年8月14日以降の審査基準日から、合計点数に1750/200をかけます。

掛け率が変わる理由は、W10 が増えたために点数の配分が変わるためです。

建設キャリアアップによる人材管理が点数に結びつかない場合は、相対的な評価として全体的に少し点数が低くなると思います。

従って、前年と同じ加点対象をとり、売り上げなど決算書類が全く同じでも点数は変わるということになってしまいます。
ただ、改正は皆に適用されますので、大手企業を除いてはあまり変化はないのかと思っています。




いかがでしょうか。

まずは、必要に応じて一つずつ増やしていかれてはどうでしょうか。

加点と入札の関係もまとめますので、照らし合わせてご検討くださいね。

お疲れさまニャー♡

まずは一つずつ加点を増やしていけたらいいね。

まる
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