経営事項審査の点数の特徴は?



建設業者の皆様、お仕事お疲れ様です。

姫路市の行政書士の秋田です。


第2回/全5回「経営事項審査の点数の特徴は?」


今回は、経営事項審査の点数の成り立ちを見ていきたいと思います。

どの要素に配点が大きく取られているのかを理解して、効率よく点数を積み上げていければと思います。

まる
まる

点数の仕組みを説明しているよ。
成り立ちが分かると、どこに力を入れればいいか分かるね。


経営事項審査の点数は、5要素から成り立っていると前回お伝えしました。

X1(完成工事高)、X2(経営規模)、Y(経営状況)、Z(技術力)、W(社会性等)の5つです。

そして、計算式のとおり、配分が決められていることもお伝えのとおりです。

では、各要素の特徴をみていきましょう。

1 X1(完成工事高)評点の特徴

完成工事高は、よくご存じの一事業年度の工事高です。この完成工事高の点数は、1,000万円未満から段階別に42区分に分かれています。

工事高は2年平均と3年平均のどちらかから選ぶことができます。

【X1のポイント】


★完成工事高からいえることは、まずは2年平均と3年平均のどちらを選ぶかが最大のポイントです。ここが一番大きな点数配分になりますので、基本的には、どちらか点数の高い方を選ぶのが一般的です。

難しいのは、点数は、各都道府県や市町村の格付けに直結しますので、例えば土木工事はAランクにいたいけれど、舗装工事はBランクにいたいという場合です。

方法としては、全体に加点が及ぶ社会性等の不要なものを排除しておいて、各業種に1級等の資格者を数多く配置することで、バランスを取ることも考えられます。ですが、これは微々たるもので大きく変わりはないともいえます。

県独自の加点も加味したうえで検討しなければならないと思いますが、最後はどちらをメインと考えるかになると思います。


★完成工事高ですので、完成していない工事については入れられないとも思えますが、進行基準(例えば、基準日までに7割完成しているので、工事高の7割分を完成工事高に計上する)を使えば、点数に反映されることになりますので、会計の際に税理士さんと相談されておく必要があります。


積み上げ方式を利用する

積み上げ方式を採用されている場合、例えばとび土工の完成工事高を土木一式工事の完成工事高に振替(足して)えることができます。

振り替えた場合は、とび土工の方は、全額を振り返るため(それ自体の工事額は0となり)独自に経営事項審査は受けられないことになりますので注意してくださいね。

2 X2(経営規模)評点の特徴

経営規模は、自己資本額の点数と平均利益額の点数から算出されます。

自己資本額は、貸借対照表の純資産合計で、基準決算と呼ばれる今年度の1年分のみの評価にするか、昨年と今年度の2年平均のどちらかを選ぶことができます。

平均利益額とは、利払前税引前償却前利益の2期平均の値(審査基準年と昨年度の平均値)をいいます。難しいですね~。

【X2のポイント】


基準決算と2期平均は、これもどちらを選択するか点数化してから選ぶと良いと思います。

完成工事高との組み合わせになります。


組み合わせとしては、4パターンになります。

  • 完成工事高の2年平均×基準決算
  • 完成工事高の3年平均×2期平均
  • 完成工事高の2年平均×基準決算
  • 完成工事高の3年平均×2期平均

上記4パターンから選ぶことが出来ます。


とにかく点数を高くしたい場合は、1期平均と2期平均を比べ高い方を選びます。

今期の決算より前年度が高ければ2期平均を、前年度が低ければ1期のみの基準平均で良いと思います。

その上で、2年平均と3年平均の高い方と組み合わせれば、もっとも高い点数になります。




3 Y(経営状況)評点の特徴


経営状況とは、少し難しいですが、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの分野を各2つずつ計8項目で点数化します。


具体的には、

・X1:純支払利息比率

・X2:負債回転期間

・X3:総資本売上総利益率

・X4:売上高経常利益率

・X5:自己資本対固定資産比率

・X6:自己資本比率

・X7:営業キャッシュフロー

・X8:利益剰余金(個人の場合は、貸借対照表の純資産合計があたります。)

の8項目に分かれています。


この8項目が均等に点数配分されているわけではなく、それぞれに配分が異なります。


【Yのポイント】


分かりやすいところで言える点は、支払利息が少ない方が点が上がり、利益率の高い方が点も上がると言えます。

支払利息が多いということは、それだけ借りているお金が多いという表れですし、利益率が高いということは、それだけ会社が順調だった表れといえるからですね。



まる
まる

ここは、難しいね。
決算の数字については、税理士さんと相談してね。
まずは、効率よく点数が上がるところから、改善していこうね。


4 Z(技術力)評点の特徴


技術力は、技術者の資格と元請完工高の2項目から業種区分ごとに点数化します。

技術者の点数が8割、元請工事2割の合計点数です。



【Zのポイント】


技術者の資格は、有している資格または実務経験のある人を点数化します。つまり、従業員なら誰でも良いということではありません。


技術者が有している資格や実務経験の種類ごとに点数がつけられていて、最大1名につき6点になります。

6点があるのは、1級技術者資格をもっており、監理技術者資格者証があり、かつ監理技術者講習の受講者です。

同じ1級でも技能士の場合は点数は2点です。

多いところで2級技能者が2点、その他実務経験者が1点です。

1級資格者で監理技術者資格、講習がない者が5点。

実務経験は、10年の実務経験、大学(所定学科)卒業と3年以上の実務経験、高校(所定学科)卒業と5年以上の実務経験が必要です。


技術者が持つ点数の配分が高いため、技術者としての登録人数が多いほど高くなります。

といっても、この点数分がそのまま加点されるわけではありません。

同じ資格であっても、会社内の他の技術者の数や資格によって加点は異なります。

あくまで会社の評価なので点数が変わるのです。

計算式は、簡単にあてはめられるものではないので省略させてください。

大会社が従業員に資格取得を推奨しているのはこういった理由からですね。


また、名前だけ登録しているような実態のない技術者は該当しません。

労働者として働く以上、最低賃金以上は必要です。さらに技術者登録するには、6カ月以上継続して勤務している必要がありますので、6カ月以上の賃金が発生していることになります。

元請完成工事高は、完成工事高で選択した2年平均または3年平均に連動して平均値が決まります。工事高は区分ごとに点数化されますが、一覧表があるので計算式を理解する必要はないと思います。



5 W(社会性等)評点の特徴


社会性は、その他の審査項目に該当するもので、社会的貢献度等が評価されるものです。

次の10項目を点数化して合計したものに(10×190/200)を乗じたものになります。

・労働福祉点数

・営業継続点数

・防災協定点数

・法令遵守点数

・建設業経理点数

・研究開発点数

・建設機械保有点数

・国際標準化機構登録点数

・若年技術者育成確保状況点数

・知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況点数


社会性の点数は、次回点数の上げ方で見ていきたいと思います。

第3回 ➡ 経営事項審査の点数は上げられる?は➡➡こちらから。

お疲れさま~
次回は、持っていれば点数が上がる社会性についての説明だよ。
一息入れてね~。

まる
まる


第1回 経営事項審査の仕組みを理解しよう➡➡こちら。

第2回 点数の特徴は?➡こちら。

第3回 点数って上げることはできるの?➡➡➡こちらから。

第4回 社会性の加点対象は何?➡➡➡こちらから。

第5回 経営事項審査の費用はどれくらい?➡➡➡こちらから。




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弊所では、経営事項審査(入札参加業者登録)も承っております。

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報酬について

業務内容申請手数料報酬
建設業 新規許可申請・許可換え新規 大臣許可   150,000円
知事許可   90,000円
100,000円
建設業 更新許可申請知事許可   50,000円48,600円(トク割)
建設業 業種追加大臣許可   50,000円
知事許可   50,000円
80,000円
60,000円
決算変更届なし28,000円
※経営審査を
受審される方は
業種数により
別途加算あり。
各種変更届(本店移転、役員変更など)なし各10,000円
経営事項審査手続き申請業種により異なります。
1業種 11,000円
3業種 16,000円
5業種 21,000円

※経営事項分析料は別途必要になります。
1業種 100,000円~
※受審の業種数によります。
入札参加業者登録 県 (役務・物品、工事)なし各50,000円
        各市町村 (役務・物品・工事)なし各40,000円
         国、水道事業団なし各40,000円
建設キャリアアップシステム登録
           事業所登録
           技能者登録        
技能者登録:詳細型 4,900円/1名  簡易型2,900円/1名

事業者登録:ID利用料11,400円+登録料は資本金額によります。
(資本金500万円の場合12,000円)
技能者登録1名
     8,000円
事業所登録 
    1事業者
    18,000円

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